Odlo High Trail Vanoise

Skyrunner World Series 「Odlo High Trail Vanoise」

distance 70km

elevation 5400m

time 13:04

women's 9th place


スカイランナー・ワールドシリーズ戦、第2戦目はフランスで開催された「ハイ・トレイル・バノワーズ」に参戦してきました。


フランス最大のスキーリゾートVal d'Isereという町を舞台にした本格的山岳レース。

標高1800mのVal d'Isereからは3000m級の山々がそびえ立っています。


今回はレースの3日前に現地入り。

ここは冬はスキーリゾートとして賑わう町ですが、夏場はどちらかというとオフシーズン。

トリノやジュネーブの空港から近く、冬にはそこからたくさんの直通バスが通っていますが、夏はそれが一切なくなり、パリから特急電車やバスなどを乗り継いで6時間かけて行くしか公共交通手段がなくなります。

日本を出て、この町に着いたのは約32時間後。

本当に長旅でした。

やはりこういったヨーロッパでのレースでは、移動が本当に長く疲れるので、最低でもレースまで中2日はないと体は厳しいです。

本当ならもっと前から現地入りしたいところだけど、それもなかなか厳しい。。


今回のレースの最高地点Grande MOTTE3656m


レースまではコースの下見をしたり、受付に行ったり、前日に行われたVKの応援をしたり、体を動かしながらも気持ちはリラックスできていたと思います。

何よりこのVal d'Isereからの景色はどこにいても最高で、町自体もすごくオシャレでキレイだし、この環境が気持ちを良い状態にさせてくれたのかなと思います。


レース当日7月7日。

朝(深夜)1時30分起床。

朝食は日本から持ち込んだレトルトの玄米とお味噌汁。フルーツとヨーグルト。

ストレッチをして、準備をして、3時15分に宿を出ました。

会場まで2kmをアップで走り、会場到着。

そして、am4時、まだ真っ暗な中、レーススタート!

まずは砂利の林道を真っ暗な中進んで行きます。

そしてだんだんと空が明るくなると同時に、コースは雪へと変わって行きます。

この大会、コース上にはいくつもの雪の箇所があります。

そして今回は大会2日前の夜にも山で雪が降ったため、コース全体の38%が雪であると、前日のブリーフィングで発表がありました。

38%ということは、70km中26kmが雪の上ということになります。

だんだんと雪が多くなり、斜度もきつくなってくるあたりで選手は皆チェーンスパイクを装着し始めました。

このチェーンスパイクは必携装備品。

でも「使うことあるのかな?」って正直思ってました。

実際、このチェーンスパイクにものすごく助けられました!


チェーンスパイクを装着して進んで行く


真っ白な山から昇る朝日は本当にキレイでした。

ただ、斜度はどんどんきつくなる。

そして気温も低く、グローブをしていても指先は感覚がなくなっていました。


3656mGRANDE MOTTEへの核心部は雪と岩。

凍ったロープにつかまり、チェーンスパイクを装着したまま、ゴツゴツした岩の斜面を一人ずつ慎重に登っていきます。

この箇所は前日のブリーフィングでも

「very very dangerous point」

と注意を促されていた場所です。


そして山頂にいるのは本当に一瞬。

すぐにまた岩の斜面を下る。

もちろん下りの方がdangerous!!

そんな岩場ポイントも終われば、今度は雪上ダウンヒル!

ここはすごく気持ちよく下れました!

でも長いのですごく脚に疲労がきました。

雪の上を走ったことがある方なら分かると思いますが、雪がないのとあるのとでは倍ぐらい疲労感が違う気がします。


そして、雪のダウンヒルが終わり、La Dailleとい町に下りるとそこがこのレースの中間地点。



ここからいよいよレースは後半戦。

まずは4kmで990mアップの登りが待っています。

そしてこの登りが本当にきつかった。

このレースの中で一番辛い思いをした場所かもしれません。

時間帯も午前中の10時 〜11時あたり。

日差しが強く、さっきまでは指先の感覚がなくなるほどの寒さの中にいたのに、ここでは汗が吹き出るほどの暑さ。

そんな中、ゆっくりだけど一歩一歩脚を前に出して、急斜面を登っていきました。


そして Lac de la Sassiereという湖まで来ると、もう一つピークを超えてそこから今度は La Fronteという町に下ります。


Lac de la Sassiereとその周りの山々


La Fronteからはラスボス、3190m Aiguille Persへと登ります。

今まで散々アップダウンを繰り返してきて、最後にまだ3000m超えのピークを踏ませるなんて、本当にすごいコースだと思いました。

ただ、このピークへの登り、私自身はそこまでキツさは感じませんでした。

ロングレースは後半へ向けてだんだんと調子が上がって来ることが多く、この日も中盤よりも後半の方がよく体が動いてくれた感覚があります。

ここでは他の選手もどんどん抜かせるし、このラストの登りで女子選手も一人パスすることができました。


最後の最後まで、とにかく雪。

Aiguille Persからの下りもチェーンスパイクを装着しようか迷いましたが、ここまできたら行ってしまえ!と思って、チェーンスパイクは装着せずに雪の斜面を下りていきました。


そしてスタートから13時間4分後、ゴールへ帰って来ることができました。

最初の目標は12時間以内。

中間地点のLa Dailleまでは自分の想定を上回るペースでしたが、中盤の登りでペースが上がらず、目標タイムには遠く及ばずの結果になってしまいました。

ただ、ゴール後に「女子9位で、入賞したから表彰式に出てね」とスタッフさんから言われて、その時は本当に嬉しかった!!

まさか入賞圏内を走っているとは思っていなかったので。



ワールドシリーズ戦での入賞は2年前のSkymarathon Madeira以来!

ランキングポイントもしっかりついたので、残る2戦で、ワールドランキングがさらに上がるように頑張ります!!


それにしても、この High Trail Vanoiseは本当にすごいコースでした。

今まで「70km」というレースはたくさん出てきましたが、こんなにキツくエキサイティングな70kmは初めてでした。

スカイランニングをやっていなかったら、できなかった経験。

本当に貴重な経験となりました。


私のワールドシリーズ戦参戦をサポートしてくれているスポンサーの皆さん、そして日本から応援してくれている皆さん、本当にいつもありがとうございます!!

ようやくシリーズ前半戦が終わりました!

次はいよいよ9月の世界選手権、そのあとに2周続けてのシリーズ戦となります!

後半戦も頑張っていきますので、引き続き応援よろしくお願いします!



Yukari Hoshino

Yukari Hoshino / Run NM

栃木県日光市在住のマウンテンランナー星野由香理のオフィシャルページです。山を愛し、自然から多くを学び、日々野山を駆け回りながら生活しています。アスリートから一般の方までのトレーニングをサポートするフィジカルトレーナーとしても活動しています。

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